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おんがくノート。忘れちゃうからメモっとこ。

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自分はできないから

先日社会人の生徒さんのレッスンで、こんな会話がありました。
「自分はピアノが下手だから、練習する、レッスンを受ける。
まだまだ下手だ、と思うことが、エネルギーになっている」

私にも覚えがあります。
そういうふうに考え、実際に練習し、できなかったことができるようになる、
という体験を私も重ねてきました。
いわゆる「バネになる」というやつですね。

これは、行動のためのエネルギーを生む考えの1つであるのは確かだと思います。

ただ、どうも「バネ」としてうまいこと働いていないような。
というのは、あまりにも「苦しそう」にピアノに向かっているように見える。
身体を縮めて、指を固めて。
前向きに練習しているように、見えないのです。

ほんとうは弾きたくないのかな?
弾かなくてすむなら弾きたくない?
聞いてみると、そんなことはないそうです。
「弾けるようになりたい。」
この生徒さんは、仕事でピアノを弾くのです。
子どもが歌う時、伴奏をする。

「もっと上手に弾きたい」
上手に、というのはもう少し詳しくいうと、どういうこと?
「・・・う〜ん、間違えない?・・・」

今必要なことは、何か思いつく?
「練習」
どんな練習?
「・・・わからない」

というわけで、練習方法を具体的に、
自分で正確に再現しやすい方法を、伝授しました。

それから・・・
「自分は下手だ」という考えが、身体を動きにくくさせ、
考えを制限し、結果ピアノの演奏の邪魔をしているかもしれない。

自分のピアノについて、どう考えてますか?
と聞くと、今度は堰を切ったように言葉が出ます。
「どうせ大人になってからはじめたから楽譜読めないし、
才能ないし、向いてないし、疲れてるし、時間なくて練習できないし、
仕事場でもダメだしされまくりだし・・・だから弾くしかない。
それに自分で弾いてて、がっかりしちゃうんです、こんなもんか、って。」

「こんなもんか」は、私もあるなあ。というかほぼいつもかなあ。
「え〜先生でもそうなんですか。」
それは曲によりますね。楽々弾ける曲か、いっぱいいっぱいか。
○○さんも、楽に弾ける曲あるでしょ?
「・・・そうですね・・・あるかな。
そうですね、まあ、昔よりは弾けるようになってますね。」

肯定的な言葉が出てくると、明らかに身体の状態も変わりました。
そのことを伝えると、
「そうなんですか。当たり前すぎて、別に気にしてなかった。」

身体の状態は、考えていることによって、大きく影響されるわけです
「う〜〜苦手、わからないできないどうしよう〜〜」と思いながら弾くよりも
「これをこうしてこうしてみるか」と手順をはっきりさせれば
安心して身体は楽になって、筋肉が動きやすくなってくれる。

やる気が出る、出ない、とか
練習がうまくいく、いかない、というのも
「そういうものだからしかたない」ものではありません
やる気がでるように、工夫できるの?
練習がいつもうまくいくように、できるの?

私もやる気になる、ならない、はあります。
でも、やる気になれないことに「悩み」、
さらに必要以上に「自分を責める」必要はない、
と思うようになりました。

やらなきゃいけない、けどできない。
あ〜どうしよう。なにやってんの私。
どうする。
迷ってみようか、このまま。

あれ?
迷うことにする?

それもなんかね。

じゃあどうしようかな。
やめよ。違うことしようっと。

これも、繰り返すうちに上達するんですよ。
自分の傾向もわかってくるしね。

というわけで
現場の先生の奮闘はつづく。
by e-t-pf | 2014-08-29 00:03 | 大人のレッスン